
「財務の仕事に漠然と興味があるけど、具体的な仕事内容は理解できていない」という人は少なくないと思います。会計や経理とも似ていますが、具体的にはどのような違いがあるのでしょうか。本記事では、財務に関する基礎知識をまとめて紹介します。仕事内容や会計・経理との違いを詳しく解説しているので、ぜひ、参考にしてください。
財務の仕事内容とは
財務の仕事とは、わかりやすく一言でいうなら会社のお金を、将来を見据えて管理することです。会社の命運を左右する非常に重要な仕事ですが、財務部が設置されている会社は多くありません。
財務部があるのは大手企業のような規模の大きな会社のみで、中小企業のような規模が小さな会社では、会社のトップが財務の判断も下していたり、経理部が財務の仕事まで処理していたりするケースが一般的です。
財務の仕事内容としては、財務戦略の立案や予算管理、資金調達などがあります。ここでは、財務の仕事内容を詳しく紹介していきます。財務の仕事に興味があるけれど、具体的な仕事内容までは理解できていないという人は、ぜひ、参考にしてください。
財務戦略の立案
財務のもっとも代表的な仕事は、財務戦略の立案です。財務戦略の立案とは、定めた経営目標の達成のために、必要になる資金の調達プランや資金の運用プランを考える業務です。会社のマスコットキャラクターのグッズを販売するケースを例に考えてみましょう。
会社のマスコットキャラクターのグッズを制作するとします。それを実際に販売するまでにはどのくらいの費用がかかり、制作にかかる費用をどのような方法で調達するのか、といった部分を考えることが財務戦略の立案にあたります。
このように、商品の企画を考えるのは商品企画部ですが、立ち上がった企画を実施するための金銭面について考えるのが、財務の主な仕事です。
予算管理
立ち上がったプロジェクトの予算を管理する仕事も財務の業務範囲です。予算管理とは名前のとおり予算を管理する仕事で、限られた予算の割り振り配分を決めて、定められた計画通りに予算が使われているのかを管理します。
予算管理を行わずに各部署が適当に資金を使い、資金が不足すると、最悪の場合倒産に繋がる恐れがあります。予算管理は非常に重要な業務であり、財務戦略時点で予算が自己資金で対応できないとわかった場合には、銀行や投資家から出資を受けるのも財務部の業務です。
資金調達
規模の小さな会社であれば、資金繰りを社長が直々に担うケースは珍しくありません。しかし、財務部がある場合は資金の調達は財務の仕事となります。
資金調達とは、新たに立ち上げたプロジェクトの達成のために必要になる資金や、会社の運営を続けるために必要な資金を調達する仕事です。資金の調達方法には、自己資金で対応する方法や銀行から借り入れる方法、投資家から投資を受ける方法、社債を発行する方法などがあります。
資金の調達も例にもれず財務の重要な仕事であり、資金調達に失敗すると立ち上げたプロジェクトの計画変更を余儀なくされたり、最悪の場合会社の経営が傾き倒産したりするおそれもあります。
余剰資金の運用
会社を運営していくなかで発生した余剰資金は、財務部が運用を行います。運用に成功し資金を増やせれば、新たなプロジェクトの立ち上げや新規人材の獲得など会社の選択肢を増やせます。
会計とはどのような違いがあるのか
会計とは、会社のお金やものの取引記録を行い、収支や財政状況をまとめて報告する役割です。財務では今後使用する未来のお金を扱うのに対して、会計では今現在使っているお金を扱うという点に違いがあります。
経理と会計もまったく同じものではありませんが、業務範囲が被っていることから、経理が会計を担うケースは珍しくありません。
経理とはどのような違いがあるのか
経理とは、会社のお金やものの取引記録を行う役割のことです。財務との最大の違いは、取り扱うお金の時間軸で、経理では今現在のお金を扱い、財務では未来のお金を扱います。
会計と経理はよく似ていますが、会計では収支や財務状況を報告するまでが役割だったのに対して、経理は記録をまとめるまでが役割である点が違います。財務と経理、会計はよく似ているかもしれませんが、それぞれ異なった業務です。
なお、財務部は規模の大きな一部の会社のみで設置されており、中小企業では財務部を設置せずに経理が財務の仕事までこなす場合があります。
まとめ
本記事では、財務に関する基礎知識を紹介しました。財務とは財務戦略の立案や予算管理を行う仕事です。会計や経理と似たイメージをもっているひとも多いと思いますが、それらとはまったく異なる仕事です。同じお金を扱う仕事だけど、扱うお金の時間軸が異なると考えると、違いがわかりやすいでしょう。財務部はすべての企業にある部署ではないことから未経験からの転職のハードルは高めです。しかし、転職が不可能ということはなく、税理士や公認会計士、中小企業診断士などの業務に役立つ経歴や資格を獲得していれば、未経験からでも財務への転職が実現できる可能性があります。