
税理士試験の登竜門ともいわれる簿記1級は、取得難易度が非常に高いため、それに見合った価値ある資格なのか、疑問を感じている人は少なくないでしょう。本記事では、簿記1級を取得するメリットを詳しく紹介していきます。仕事と学校、スキルアップの2つの視点からメリットを解説するので、取得を迷っている人は、ぜひ、参考にしてください。
簿記1級取得のメリットとは〜仕事・学校編〜
仕事・学校面で簿記1級を取得するメリットとしては、就職や入試で評価されること、資格手当が貰える場合があることなどが挙げられます。ここでは、仕事・学校面でのメリットを解説します。
就職で評価される
簿記1級は、数ある経理関連資格のなかでも高い認知度を誇っている資格です。多くの人が経理財務に関する深い知識と技能を保有していることの証明として認知しているため、就職において評価されることは間違いありません。
簿記は3級からが履歴書に記入できるレベルといわれていますが、就職時に有利に働くのは2級以上であり、応募条件として簿記2級を挙げている会社は多いです。
そのため、2級までは取得していても1級は取得していないという人が多く、1級を取得できれば周りと大きな差をつけられます。経理や会計の仕事をしたいのであれば、取得しておいて損をすることはないでしょう。
入試で評価される
簿記は社会人向けの資格として広く認知されているものの、受験資格に年齢制限はなく、学生であっても取得が可能です。学生のうちに簿記1級を取得できれば、大学の推薦入試時にも役立ちます。
推薦入試の受験資格を得るために求められるのは3級や2級のため、1級まで学生のうちに取得していれば、周りに大きく差が付けられる強力なアピールポイントになりまます。推薦入試を検討しているのであれば、1級の取得を目指してみることがおすすめです。
資格手当が貰える場合がある
簿記の取得には、資格手当が貰える場合があるというメリットもあります。金額は会社によって差がありますが、1級であれば3,000円~1万円前後が相場です。仮に資格手当が3,000円であっても、取得している人としていない人とでは、給料に年間3万6,000円の差が生まれます。
簿記に興味があるなら、取得するメリットは大きいといえるでしょう。なお、資格手当の金額や支給条件は会社ごとに大きく異なります。すべての会社で簿記に資格手当が支給されるわけではないので、手当を目的に資格取得に挑戦する際は、事前に在籍している会社のルールをよく確認してください。
簿記1級取得のメリットとは〜スキルアップ編〜
続いて、スキルアップの視点から簿記1級を取得するメリットを紹介します。スキルアップの視点からみると、独立や起業時に役立つことや指導員試験で免除が受けられるなどのメリットがあります。
独立や起業時に役立つ
簿記1級を取得すれば実務にも充分対応できる知識が身に付くため、自分で財務諸表を作成するなど経理周りの仕事を行えるようになります。
独立や起業する場合、税理士に委託をすると月々10万円前後の費用がかかってしまうので、大きな経費削減につながります。将来の起業や独立を視野に入れているのであれば、簿記1級まで目指してみることがおすすめです。
指導員資格試験で免除が受けられる
簿記1級を取得すれば、職業訓練指導員になるために必要な指導員資格試験において事務化の試験科目の1部免除が受けられます。職業訓練指導員とは、公共の職業能力開発施設でスキル取得に必要な技能や知識を指導する講師のことです。
2級や3級では免除は受けられないので、将来的に人に簿記を教える仕事に就きたいと考えているのであれば、1級まで取得するメリットは大きいといえるでしょう。
簿記1級取得のメリットがとくに大きい人の特徴
最後に、簿記1級を取得するメリットがとくに大きい人の特徴を紹介します。簿記1級の取得を目指すかどうか、迷っている人は、ぜひ、自分があてはまっているかチェックしてみてください。
会計や経理の仕事に就きたい人
簿記1級を取得することで身に付く知識は、会計や経理の仕事で活かせます。そのため、会計や経理の仕事に就きたい人にとくにおすすめです。求人の応募資格で多いのは2級ですが、1級をもっていたほうが2級までしか取得できていない人よりも、圧倒的に有利です。
税理士を目指している人
1級を取得すると、学識による受験資格をもっていない人でも税理士試験が受けられるようになります。そのため、将来的に税理士を目指している人は、1級まで取得することがおすすめです。
1級取得は簡単ではありませんが、税理士試験の受験資格を獲得するにはどの方法を選んでも長い時間がかかります。出題範囲に共通する部分が多いことを考慮すると、税理士試験目当てで1級を取得しても損をすることはないでしょう。
まとめ
本記事では、簿記1級は価値ある資格なのか、そのメリットについて詳しく紹介しました。1級を取得するメリットとしては、就職・入試で評価されることや独立・起業時に役立つこと、指導員試験で免除が受けられることなどが挙げられます。就職では2級を取得していることが最低条件となっているケースが多いですが、1級には2級よりもさらに価値があります。取得していれば、採用試験や入学試験において高く評価されることは間違いありません。会計や経理の仕事に就きたい人、税理士を目指している人であれば、取得しておきたい資格だといえるでしょう。